遺言書がある場合・ない場合で何が変わる?相続手続きと分け方の違いを徹底解説
遺言書があるかないかで、相続手続きや遺産の分け方は大きく変わります。本記事では、遺言の効力、遺産分割への影響、手続きの違いをわかりやすく解説します。
遺言書がある場合・ない場合で何が変わる?相続手続きと分け方の違いを徹底解説
はじめに
相続の現場でよく耳にするのが「遺言書はあったのか?」という言葉です。実際に、遺言書の有無によって相続手続きの進め方や遺産の分け方が大きく異なります。
本記事では、遺言書がある場合とない場合で何がどう変わるのかを、法律と実務の両面から分かりやすく解説します。
遺言書とは?|基本の定義と役割
遺言書が果たす3つの役割
遺言書は、被相続人(亡くなった人)の最終の意思を記した法的文書で、以下のような役割を果たします。
- 財産の分配先を自由に指定できる
- 法定相続分にとらわれずに分けられる
- 相続トラブルの予防になる
遺言書があることで、法律で決まった相続分に縛られずに相続人を選べるという大きなメリットがあります。
遺言の効力はいつ発生する?
遺言書は被相続人の死亡と同時に効力を発揮します。生前に遺言内容を変えることは可能ですが、死亡後は原則としてその内容が最優先されます。
遺言書が「ある場合」の相続
遺言書が優先されるルール
民法では、遺言書がある場合にはその内容が法定相続分よりも優先されます。たとえば:
- 長男にすべての不動産を相続させる
- 配偶者に多めの割合を与える
- 内縁の妻や第三者に財産を与える(※ただし制限あり)
なども有効になります。
遺産分割協議は不要になる?
遺言書に財産の分け方が明記されていれば、相続人同士で話し合う「遺産分割協議」は不要になります。ただし、遺言に書かれていない財産がある場合は、その部分について協議が必要です。
検認が必要な場合とは?
自筆証書遺言や秘密証書遺言は、**家庭裁判所での「検認」**が必要です。検認は、遺言の存在と内容を確認し、改ざん防止のために行う手続きで、相続人全員に通知されます。
一方、公正証書遺言であれば検認は不要で、スムーズに相続手続きに移れます。
遺言書が「ない場合」の相続
法定相続人による遺産分割協議が必要
遺言書がない場合、民法のルールに従って相続人を確定し、全員で遺産の分け方を協議します。これが「遺産分割協議」です。
例:
-
相続人が配偶者と子ども2人の場合:
配偶者1/2、子どもたちで1/2(1/4ずつ)
この話し合いには全員の合意と署名押印が必要です。
話し合いがまとまらないときはどうなる?
もし相続人同士で話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所での「遺産分割調停」に進みます。さらに解決できないと、「審判」により強制的に分割方法が決定されることもあります。
このようなトラブルを避けるためにも、生前に遺言書を残すことの重要性が際立ちます。
遺言があっても無効になることはある?
法的要件を満たしていないケース
遺言書があっても、以下のような場合は無効となります。
- 日付・署名・押印がない(自筆証書遺言)
- すべてをパソコンで作成した(手書きでなければ無効)
- 作成時に判断能力がなかった(認知症など)
形式を誤ると遺言が無効になるため、専門家のチェックを受けることが望ましいです。
遺留分との関係と対策
遺言書があっても、法定相続人には「遺留分」という最低限の取り分が認められています。
例えば、すべての財産を第三者に譲る内容だった場合、子どもや配偶者が「遺留分侵害額請求」をすることで、自らの取り分を請求できます。
まとめ|遺言書の有無でここまで変わる!
| 比較項目 | 遺言書あり | 遺言書なし | | --------- | -------------- | ------------ | | 遺産の分け方 | 遺言が優先 | 法定相続+協議 | | 分割協議の必要性 | 基本的に不要 | 必須(全員の合意が必要) | | 手続きのスムーズさ | スムーズ(公正証書なら特に) | 話し合いで長引くことも | | トラブル発生リスク | 少ない | 高い |
相続をスムーズに、そして円満に進めるためには、**生前の準備としての「遺言書作成」**がとても重要です。
自分の想いを明確に伝え、家族の負担を減らすためにも、公正証書遺言の活用や、専門家との相談を検討してみてください。
written by

ブルズHQ編集部