よくある相続トラブルとその回避方法|家族間の争いを未然に防ぐためにできること
相続でもっとも避けたいのが「家族間の争い」です。よくある相続トラブルの実例を紹介しながら、原因と具体的な回避方法をわかりやすく解説します。
はじめに
「相続」をきっかけに、家族関係が壊れてしまう…。
そんな話は、決して珍しくありません。
遺産の分け方に不満を持ったり、親の意向が不明なまま相続が始まってしまったりすると、“争族”と呼ばれる深刻なトラブルへと発展します。
この記事では、よくある相続トラブルの実例とその原因を紹介しながら、未然に防ぐための具体的な方法をわかりやすく解説します。
なぜ相続トラブルが起こるのか
財産の分け方に対する不満
相続人それぞれが「自分の取り分はもっとあるべき」と考えることは多く、金額だけではなく“気持ちの問題”も含まれるため、調整が難しくなります。
- 「兄は親の世話を何もしていなかったのに…」
- 「私には家の名義がもらえるはずだったのに…」
こうした想いが積み重なることで、冷静な話し合いが困難になるのです。
親の意思が不明確なままの相続
遺言書や話し合いがないまま相続が発生すると、
「誰が何をもらうべきか」が全く見えず、相続人同士で争いになりがちです。
特に不動産が関わる場合には、「誰が住むのか」「どう分けるか」で揉めやすくなります。
よくある相続トラブルの実例
不動産の共有で揉めるケース
実家を兄弟で共有名義にした結果…
- 1人が住んでいて家賃を払わない
- 売却や修繕に意見がまとまらない
- 次の相続(2次相続)で共有者が増え、さらに複雑に
→ 結果として**“売ることも使うこともできない塩漬け不動産”**になるケースが多く見られます。
特別受益や寄与分でもめるケース
- 「長男だけが生前に多く援助を受けていた」
- 「私はずっと親の介護をしてきたのに、評価されない」
このような “不公平感”が火種になり、「特別受益」「寄与分」をめぐって調停や裁判になることもあります。
遺言書の有無や内容に対する不信
- 自筆証書遺言の内容に納得がいかない
- 書かれた日付や筆跡に疑問がある
- 遺言があること自体、相続人の一部しか知らなかった
→ 遺言書の“信頼性”が疑われると、大きな火種になります。
トラブルを未然に防ぐためにできること
遺言書を作成する
もっとも基本かつ効果的な対策です。
「誰に何をどのように相続させたいか」を明文化しておけば、相続人同士の話し合いを不要にできます。
- 公正証書遺言を使えば検認不要でスムーズ
- 形式不備による無効リスクも低い
生前から家族で話し合いをする
- 自分の想いを伝える
- 家族それぞれの希望を聞く
これだけでも**相続人の“心の準備”**が整い、相続後の混乱を防げます。
「言いにくい話だけど、元気なうちにこそできる会話」です。
専門家を交えて中立的に整理する
司法書士・税理士・弁護士などの専門家に相談することで、法律的なリスクや不公平のない分割案を提示してもらえます。
家族だけで話すと感情論になりがちですが、専門家がファシリテーターとなることで冷静な話し合いが可能になります。
感情的な対立を避けるための工夫
公平性と納得感を両立させる
「平等に分ける」ことがすべてではありません。
相続人それぞれの事情に合わせた配分を検討することで、納得感ある相続を実現できます。
- 介護をしてきた人に少し多めに
- 現金を多くもらった人は不動産は譲る
など、全体のバランスで考えることが大切です。
きちんと記録に残すことの重要性
口頭での約束やメモ書きだけでは後からトラブルになります。
- 遺言書(公正証書がおすすめ)
- 遺産分割協議書(署名・実印)
といった法的に有効な形で記録を残すことが、最大のトラブル予防策です。
まとめ|円満な相続のためには「準備と対話」が鍵
| トラブルの原因 | 回避策 | | --------- | ---------------- | | 不動産の共有 | 代償分割・単独相続を検討する | | 特別受益・寄与分 | 事前に家族間で共有+遺言に明記 | | 意思不明・遺言なし | 公正証書遺言の作成、専門家の関与 |
「相続=争い」とならないためには、事前の準備と家族とのコミュニケーションが何より大切です。
財産の多寡に関係なく、**“思いが伝わっているかどうか”**がトラブルを防ぐ最大のポイント。
まだ元気な今こそ、“家族の未来”を考える相続対策を始めてみませんか?
written by

ブルズHQ編集部